この夏、子供たちに贈りたいメッセージ

この世界には、人間の世界とは別に、もう1つの世界がある。バケモノの世界だ。ある日、ひとりぼっちの少年がバケモノ界【渋天街】(じゅうてんがい)に迷い込み、バケモノ・熊徹(くまてつ)の弟子となって、九太(きゅうた)という名前を授けられる。奇妙な師弟関係の2人はことあるごとにぶつかり合う。だが、修行と冒険の日々を重ねるうち、次第に絆が芽生え、ともに成長する。まるで本当の親子のように。
(細田守『バケモノの子』角川文庫より)

本日(22日)の「金曜ロードSHOW!」は『バケモノの子』(細田守監督、2015年、日本)です。角川文庫の紹介文が示すように『バケモノの子』は「親子の物語」。男の子がおられる親御さんは、お子様が「九太」(声:宮﨑あおい・染谷将太)のような立場に置かれたら、どうなるだろうかと想像しながら、お話をご覧になってください。お父様は自分とお子様(ご子息・ご息女)との関係を「熊徹」(声:役所広司)と九太のそれとに重ねて、ご覧になると良いかと思います。ご自身は「親」として、九太のために熊徹がしてみせたようなことができるだろうか、と自問なさるのも素敵だと思います。

子供は、純粋無垢な存在であるとは限りませんが、すべからく弱い存在です。家族というシステムも、教育という制度も、私は「弱いモノを守る」ためにあるものだと考えています。

熊徹は、確かに不器用なバケモノではありますが、弱いモノを守ることができる存在です。

京都精華大学での人文学概論授業。大学論から始まってキャリア形成論まで90分。は~、暑かった。学生は30人くらい残り8-9割は学外の皆さまでした。ろくに告知してないのに、ちゃんと調べて岩倉村まで暑い中お運び頂き、ありがとうございました。学生たちには「世のため人のために勉強して、働いてください」というごくまっとうな結論をお伝えしました。その「当たり前の」結論に導くまでに教育行政の致命的破綻、グローバル人材育成教育の虚妄、日本のファシズム旋回について70分話さないといけないというのがとっても大変でした。学生たちは「格付け競争における優位の追求」「格付けに基づく資源配分」「私利の追求」は善であり、「競争」によってのみ人間のパフォーマンスは最大化するという信憑を刷り込まれています(気の毒だけど)。その信憑を解除しないと先がありません。「強きを挫き、弱きを助ける」というのは空疎な道徳律ではなく、自分の資質を開花させ、ブレークスルーを実現するために経験的に知られた極めて効率的な仕方です。それを太古から無数の物語を通じて先人たちは教えてきたはずなんですけど。今は誰も教えない。
(内田樹のツイッターより 2016年7月18日)

『バケモノの子』は「自分の資質を開花させ、ブレークスルーを実現するため」の有効な仕方としての「強きを挫き、弱きを助ける」という生き方の大切さを伝える物語です。

物語中では熊徹も、九太も、「楓」(声:広瀬すず)も、多くの登場人物たちが「誰かを助ける」ために命を燃やします。

「忘れないで。私たち、いつだって、たったひとりで戦ってるわけじゃないんだよ?」

このメッセージこそ、いま、子供たちに贈り届けられるべきメッセージだと思います。

穎才学院の夏休み。うちの子供たちにもこのメッセージを贈ります。ひとりでもたくさんの子供たちが健やかにそれぞれの成熟に向かっていけるように。私は出来ることを惜しんではいけないと思います。

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