「アオハルかよ」

2017年のカップヌードルのテーマは「アオハル(青春)」、その第一弾CMは角野栄子先生の「魔女の宅急便」に題を取ったものです。

宮崎駿監督のアニメ映画(1989年)で知られる「魔女の宅急便」ですが、角野先生による小説の初版は1985年、以来福音館書店から刊行が続いて2009年の『魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち』で結びを迎えました。

いま「魔女の宅急便」全6巻は福音館文庫、角川文庫で手に入ります。いずれもかわいらしいデザインの箱がついたセット版がおすすめですよ。

カーリルで開く

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さて、今回のCMと原作版にはいくつかの違いがあります。(違いがあっていいんです!)

□ CMではキキととんぼは多分同い年。か原作でとんぼさんはキキのひとつ上。
□ CMでキキととんぼは横浜に住んでいる。原作でキキが住んでいるのは「コリコ」という街。

他にも細かく見ると

□ 原作ではキキがコリコにやってきた13歳の年におキノさんの最初の子供が生まれる。CMでは17歳であるはずのキキの部屋(?)に「おソノさん入学式プレゼント」と書いたメモが貼ってある。年齢が合わない。
□ 原作でとんぼさんは15歳の夏にハンググライダーの飛行実験を果たしてから生物学(というか昆虫研究)に転向するのだが、CMのとんぼはドローン飛行に凝っている。
□ 原作でおソノさんとフクオさんが営む「グーチョキパン屋」さんは小さい家がならぶ通りにあるパン屋さんなのだが、CMではビルの上に照明付きの「グーチョキパン屋」の看板があって、周囲にはマンションなどが並んでいる。
□ 原作でキキは十代の後半をとんぼさんと離れて別々に生活するのであるが、CMでふたりは同じ高校に通い(たぶん中学校も同じ)、ハロウィンパーティーをいっしょに楽しんだり、冬の夜に「グーチョキパン屋」の看板のところまで昇ってふたりでカップヌードルを食べたり、図書館でいっしょに勉強したりしている。

と、いろいろな違いが見つかります。(違いがあっていいんです!)

でも、このCMで1番難しいのは時系列の理解。たぶん、冒頭と結びとが桜のシーンなのに、6月下旬になる頃に公開する都合上、どこかに夏を連想させる重要なシーンが無くてはならなかったからでしょうね。

とんぼへの告白を目撃したキキの表情が印象的にプールに映るのは、そういった夏の入り口のイメージを喚起させるものだと思います。

日清食品さんのカップヌードルブランディングサイトには、製作メモとして「1コマ1コマ、楽しめるつくりになっています。ぜひ、何回も見てみてください。意外な発見があるかもしれません。」というメッセージが添えられています。

だから、私も1コマ1コマ何度も見なおしてみました。

□ とんぼの教室の黒板に「忖度」「BUMP参上」と書いてある。
□ キキはプール掃除をしながら箒でプールの水面より少し上に浮いている。
□ とんぼが女子生徒に「告白されている」のを目撃したあと、打ち上げ花火の火花が散る中をキキが箒で飛ぶように見えるシーンでキキは涙のつぶをこぼして泣いている。
□ キキがスマホの待受にしているとんぼとの2ショット写真で、キキの箒には映画にでてきた、あの「赤いラジオ」がちゃんと付いている。
□ キキととんぼが楽しむハロウィンパーティーでトンボは「ハリーポッター」を連想させる仮想をしている。蝶ネクタイのカラーリングが「グリフィンドール」のカラー。

「忖度」はウケました( ´艸`)

わからない(説明が付かない)ものもいくつか。

□ キキが涙を流しながら飛ぶ花火大会はどこの花火大会?
□ キキととんぼが図書館で勉強しているシーンで図書館の本棚が写り込んでいるが、そこに示された分類が日本十進分類法で説明できない。(「物理学」の上段に文学に関する棚が来るというのは考えづらい)
□ キキがとんぼに思いを届けるシーン、とんぼがいる画面左側から2つの「黄色い光線」が飛んでくる。隕石のようにも見えるけど??
□ 最初のシーンと最後のシーンでキキは箒で飛びながら満開の桜の木にぶつかるのだけれど、ぶつかり方が違うので、キキは少なくとも2度は桜の木にぶつかっている。キキが身に付けている衣装は多分同じ。これは同日?それとも?

―――
横浜に住む女子高生、キキ17才。
彼女はこの街で、相棒の黒猫ジジと元気に暮らしている。
同じ高校に通う幼馴染のとんぼには、淡い恋心を抱いていた。
ある日、とんぼが後輩の女の子から告白されるところを、
偶然にも見つけてしまう。心がざわつくキキ。 キキ 17才。
この気持ち、うまくお届けできますか?

夏。花火が打ちあがる空の中、
想いが溢れ出すキキ。
フラッシュバックする、とんぼと過ごした日々。 「とんぼに届け物があるの」
勇気を出したキキが、とんぼに届ける思いとは? 今、青春に魔法がかかる―
―――

このテクストを読むと、キキが勇気を出したのは「夏」の後です。そして、そのときキキは17歳。

CMを見ると、キキが勇気を出してとんぼに思いをとどけるのは夏ではありません。それにしては服装が暑すぎる。

ということは、キキが打ち上げ花火の夜に泣きながら空をとんだ後、彼女の「届け物」が届けられるまで、数カ月の時間があったことになります。

そして、最初の桜と最後の桜は同じ年のものなのか、はたまた1年違いのものなのか。

このあたりが私の関心の所在です。

と思ったら、わかったかもしれません!

最初の桜は「葉桜」なんです。

とんぼが自転車をこいでる後ろに、ずいぶん緑が目立つようになった桜の木の枝が見えます。

始めのシーンでキキが桜の木の枝にぶつかるとき、その木の枝には緑の葉っぱがきちんと描かれています。

でも、最後のシーンでキキがぶつかる枝にはそれが見えない。原作でキキの誕生日は2月2日、17歳であり高校生のキキが桜の木の枝の中を箒で飛べるのは一度だけ、高3になったばかりの4月です。(卒業式前に横浜の桜は間に合いません)

だとすると、どこかで時間の逆行が起きてないとおかしい。

以上の情報を合理的に説明できる、CM内の予測時系列はこんな感じ。

冒頭(桜のシーン)高3、17歳の4月

桜の木の枝(葉桜)に衝突

高3の4月・5月ごろ、ドローンを教室で持ち上げて友達とふざけるとんぼ

高3の6月ごろ、プール掃除中に告白されるとんぼを目撃

高3の夏、花火大会で涙。

高3の勇気を出して告白!

冒頭(桜のシーン)高3、17歳の4月
キキの笑いはこれから起きる高3の「アオハル(青春)」を予期させるような漫ろ笑い

こんな感じでしょうかね…。

うーん、まだちょっと(いやだいぶ)納得がいかないw

もう1つの仮説。

実は冒頭のキキは16歳である。

この場合、キキの誕生日は4月の下旬から5月にかけてであり、キキととんぼは学年が違う(とんぼが1つ上)という解釈がなりたちます。(日清食品さんはとんぼが17歳だと一言も言っていない)

キキが17歳だと思い込んで最初からCM映像を見ると、この理解は導けないのですが、実際CMナレーションの入っている位置も、サイトのテクストも「冒頭16歳説」を邪魔するものではありません。

そうすると時間の逆行はなく、最後の桜のシーンは17歳になった(冒頭から1年経った)キキで、このときとんぼは既に高校を卒業しているという理解が可能です。(最後のシーンにとんぼは写り込んでいない)

この説明だと、最後のキキの笑いはとんぼに思いを届けることが出来た後の愉悦の笑いです。

そうでなければ、冒頭のキキは17歳になったばかりで、最後のキキは18歳の誕生日を迎える直前。つまりキキの誕生日は4月の頭ごろ。

そんな考え方もできますね。

こちらの方が「合理的」かなー。

また、わかったら更新しますw

今日はこれまで~。

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