ルールは与えられるだけのものではなく、自分たちで決めるものではないでしょうか。
学校のルールは誰が決めるのでしょう?
小学校の社会科の授業で、児童は日本国憲法について学びます。その中で重要なの考え方の1つが「国民主権」です。
主権というの何でしょう。例えば、国に関する主権とは、国で暮らす人々に関することや国の中のことを決定する権利のことを言います。そういった権利が、日本国憲法では、国民ひとりひとりに保障されているのです。
また、行政において憲法に基づくという基本的原則を立憲主義と言います。憲法によって、行政がほしいままにその権力を行使をするのを制限しているのです。それによって国民の権利や利益が保障されているとも言えます。
中学生や高校生の中に、国の法律は政府が決めると考えている人たちがいます。大人の中にもいるかも知れません。実際は違います。国の法律を決めることができるのは国会だけで、そこで活動するのは公選された全国民の代表である国会議員です。その意味で、国の法律を決める権利を持っているのは、やはり国民ひとりひとりであると言えます。
では学校ではどうでしょうか。校則というのは学校のルールですが、それを決めるのは誰だと中学生や高校生は考えているでしょうか。学校の先生でしょうか。教育委員会でしょうか。それとも、学校の生徒ひとりひとりでしょうか。
文部科学省は校則について「校則について定める法令の規定は特にないが、判例では、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において校則を制定し、児童生徒の行動などに一定の制限を課することができ、校則を制定する権限は、学校運営の責任者である校長にあるとされている。」と説明しています。
上によると校則を決めるのは「校長」です。
ただし文部科学省はこのようにも説明しています。
「学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況は変化するため、校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならない。」「校則の内容の見直しは、最終的には教育に責任を負う校長の権限であるが、見直しの際には、児童生徒が話し合う機会を設けたり、PTAにアンケートをしたりするなど、児童生徒や保護者が何らかの形で参加する例もある。」
なお上の説明は平成22年のものです。
令和4年度が始まりますが、学校での校則をめぐる社会的環境は変化したでしょうか。
東京都教育委員会によると、都立高校などで、髪を一律に黒く染めさせたり、頭の側面を刈り上げる「ツーブロック」を禁止する、下着の色を指定するなど、「理不尽」「不合理」といわれた、いわゆる「ブラック校則」の5つの項目について、新年度となる4月から全ての学校で廃止します。
また教師用の生徒指導に関するガイドブックにあたる「生徒指導提要」(平成22年3月作成=「上の説明」)が約10年ぶりに改訂されます。「児童の権利に関する条約」の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だとした上で、校則のホームページ公開や改定手続きを明文化することなどを求める段取りになっています。
例えば、こういった校則に関する教育行政も各種法令に基づいて行われます。行政に国民ひとりひとりが直接的に関わることは難しいのですが、その基礎である立法の主権者はやはり国民です。
中学生や高校生の何割かが、大学に進学すると、そこで授業やゼミナールのルールを学生自身で決める機会に学生たちがでくわすことがあります。そういった機会を通して、学生たちは「大学の先生」がそれらのルールを決めるわけでは必ずしもなく、学生たち自身が主体的にルールの制定や運用に関わることを学ぶことがあるのです。
私は中学校や高校でもそういった機会が増えるように願っています。皆さんはどのようにお考えでしょうか。
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