たぬぱっどの話

こんにちは、きよしです。

この前、スマートフォンの機種変更手続きをしにいったなめこが、たくさんの荷物を持って、お家に帰ってきました。

なんだか、当初の予定に無いものを持ち帰ってきたようです。

ぼくといっしょに晩御飯を食べてから、なめこはお風呂に入りました。

いつもより、長いお風呂です。何か、考え事をしているのかな。

そういえば、食事中も、いつもより口数が少なかったように思います。どうしたのだろう。

さて、お風呂から上がってきたなめこです。

持ち帰ってきた荷物から、書類を取りだし、その内容を一生懸命に読んでいるようです。

どうやら、なめこはスマートフォンの機種変更手続きをしにお店に行き、そのお店で、当初の予定にないタブレット端末の購入をしてきたようですね。

なめこは「たぬふぉん」というスマートフォンを使っています。たぬふぉんは、木の葉マークのロゴで有名なKONOHAという会社が製造するスマートフォンです。

ぼくたちぬいぐるみや動物の世界では、ここ15年くらい、グローバルな人気を得ている商品なんです。

最近、KONOHA社から新型の「たぬふぉんX」という機種が発売されたので、それまで「たぬふぉん5」というずいぶんと古い型のスマートフォンを使用していたなめこは、これを機会に、「たぬふぉんX]のひとつ前の型である、「たぬふぉん8」に機種の変更をしようとお出かけしたのでした。

なめこがお出かけしたのは「ばしばしカメラ」という名前の大型家電量販店です。そこではあなぐまさんたちが「たぬふぉん」を売っています。

でも、あなぐまさんたちは、たぬふぉんのようなスマートフォン端末と同時に、携帯電話会社の回線契約も取り付けているのです。

なめこもぼくも「ドコデモ」という携帯電話会社と回線の契約をしています。ドコデモ社は他の携帯電話会社と、契約している回線の数を競っているようです。

そこで、ドコデモ社などの携帯電話会社は、自社での電話料金などの値引きの工夫の他に、ばしばしカメラのような量販店に、契約している回線の数を増やすよう、必要な販売の工夫や努力を求めているのです。

ばしばしカメラの場合、たぬふぉんの機種変更手続きをしにいくと、あなぐまの店員さんが「たぬぱっど」というタブレット端末のセールスを仕掛けてきます。

「今日、機種変更手続きをするときだけのサービスです」とか、「たぬぱっどを使うと、こんな便利なことができます」とか、「弊社で2万円の購入費用を負担します」とか、ずいぶんと巧みなセールスの仕方で、機種変更手続きをしにきたぬいぐるみや動物のお客さんたちに、「たぬぱっど」の利用を勧めます。

お客さんたちは「たぬぱっど」を買いに来たわけではないのですが、機種変更に必要な手続き中にお店の中でそういったセールスを仕掛けられると、そういうあなぐまの店員さんの話を聴かざるを得ません。

そうしているうちに、何割かのお客さんは、たぬぱっどを買ってもいいかなー、という気になってしまうのでしょう。

そうなったら、もう一押しです。さらに「ばしばしポイントで、1万円分のポイントサービスもつけちゃいますよ」とか、「このたぬぱっどには、ドコデモ社の携帯電話番号がつくんですー、そこにもドコデモ社の割引がつくんですよー、実質無料ですねー」とか、巧みなセールストークで畳みかけていきます。

そのまま、お客さんにたぬぱっどを購入してもらい、ドコデモ社の新規回線契約もしてもらえたら、あなぐまの店員さんは万々歳です。セールスの目的達成ですね。

なめこは、うっかりとそのセールスに乗ってしまい、ドコデモ社の回線を増設し、たぬぱっどを購入して、家に帰って来たのでした。

でも、そもそも、たぬぱっどを購入するつもりは無かったのです。落ち着いて考えると、たぬぱっどなど購入する必要が無かったと思えてきます。色々な値引きやサービスを受けても、よく考えれば、たぬぱっどは要らなかったのです。

なめこも、気がついたみたいですね。

さて、書類を読み込んだなめこは、中学校の社会科の教科書や高校の家庭科の教科書、それからポケットサイズの六法を本棚から取り出します。

今度は、それらと首っ引きで、何かについて調べているようです。

ちょっと、その様子をのぞいてみました。どうやら、なめこはクーリングオフの制度について、調べているようですね。

クーリングオフというのは、割賦販売や訪問販売などで契約後一定期間内であれば無条件で購入の契約を解除できる制度で、消費者を保護するための仕組みです。

なめこは、たぬぱっどを返品し、たぬぱっどの購入と合わせて契約したドコデモ社の電話回線も解約したいようです。

調べていくとすぐに、携帯電話回線の契約は、契約後8日以内でなら、解約が可能であることがわかりました。ドコデモ社の回線の解約はできそうです。

でも、たぬぱっどはどうでしょう。クーリングオフの制度を用いて返品ができるか、調べてみると、たぬぱっどのような物品の購入は、原則としてクーリングオフの対象にならない、ということがわかりました。

困りましたね。

でも、なめこはあきらめずに調べています。

資料を読み込んだなめこは、クーリングオフが訪問販売や店頭販売で購入してしまった物品についてなら適応できるのを知りました。

訪問販売と店頭販売は、元々は購入する予定がなかった物品などを購入させられるという点で共通しています。そういった場合、物品の購入についても、その購入が適当であったか、後から考え直す機会が消費者には認められているのです。

なめこは、ばしばしカメラのお店で、たぬふぉんの機種変更の手続き中に、店内でたぬぱっどの購入をすすめるような説明を受けたのを思い出しました。

あなぐまの店員さん、やりますね。あなぐまの店員さんのセールスは、訪問販売でも店頭販売でも、ありません。そこだけ見ると、クーリングオフの制度はやはり適応できないように思えますね。

でも、なめこはやっぱりあきらめません。

なめこは考えました。

「ぼくはたぬふぉんの機種変更手続きのためにばしばしカメラのお店に行ったのであって、たぬぱっどを買いに行ったのではない。だから、たとえあなぐまの店員さんが店内でたぬぱっどの購入をぼくにすすめていても、あなぐまの店員さんがぼくにしたことは、店頭販売で買う予定の無かった物品を購入させるのと、ほとんど違わない。そうだとすると、店頭販売での物品購入にクーリングオフが適応できるように、ぼくのたぬぱっど購入にもそれが適応できる可能性がある。」

うん。それなりに筋の通った説明です。

そこまで考えたなめこは、そういった考えについて、忘れないようにたぬふぉんのメモ帳に記して、教科書や六法などを片づけ、寝室に向かっていきました。

おやすみなさい。安心して、ぐっすりと眠れるといいですね。

さて、翌日です。

なめこはたぬぱっどとその購入などに関係する書類一式を携えて、ばしばしカメラに再びおもむきました。

ドコデモ社の回線契約の解約と、たぬぱっどの返品に挑戦するようです。

上手くいくといいですね。

ぼくはおでかけするなめこを見送ってから、お仕事に向かいました。

その日の夜、なめことお家で待ち合わせをしています。

夜、ぼくがお家に帰ると、なめこが料理を作って待っていてくれました。

解約と返品、上手くいったようです。

なめこはそのことについてあまり詳しく説明しませんでしたが、きっとなめこはばしばしカメラで店員さんたちと丁寧に粘り強く相談したのだと思います。

あなぐまの店員さんたちが悪いのではありません。彼らには彼らの道理があります。

でも、それとなめこの思惑や希望が異なるのです。

そういったとき、ぼくたちは粘り強く話し合います。辛抱強く、交渉を続けます。

そして、相談する相手の知性を信頼して、決して怒らず、奢ることもなく、丁寧に話し合うのです。当然なんですけどね。

相談するときには、相手のありようを尊重することが大切です。

なめこはそういう仕方でのネゴシエーションが上手です。なめこのそういうところが、ぼくは好きだったりします。うん。

さて、これからなめこと食事を楽しもうと思います。ぼくは新発売のアイスクリームを買ってきました。美味しそうなので、なめこと食べてみようと思ったのです。

さあ、ぼくたちの晩餐がはじまります。いただきまーす。

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