ポールとあいみょん

ビートルズ (The Beatles)の「レディ・マドンナ」(Lady Madonna,1968)、ピアノのイントロから示されるシンプルなコード進行が美しい楽曲です。

というのも、この楽曲のコード進行は、学校の音楽の時間に教わる基礎的な音階を土台としています。

その音階は全音階。

ドの音を基音として、そこからピアノの白い鍵盤だけを押して、1オクターブ上のドの音まで上り詰めていくのが全音階です。

ピアノを始めた人が必ず最初に習う音階です。

ドレミファソラシド

それだけです。シャープもフラットもありません。

簡単でしょ。

この音階、英語で言うと、diatonic(ダイアトニック)と言います。英語にすると、何だかカッコいいですね。

さて、「レディ・マドンナ」を作曲したポール・マッカートニーは、この音階に少しだけ工夫を凝らしました。

その工夫は主に2つ。

1つは2番目のレの音を取ってしまうこと。

もう1つはいっぺんに上まで上り詰めてしまわないことです。

ド ミ ファ

ド ミ ファ

と、お預けを2度あたえて、その後で、

ド ミ ファ ソ ラ ̪シ ド

と上り詰めたのです。

これが格好いいんですね。

コードの自然な展開上、ミの音とラの音の和音はマイナーコード(短和音)になり、上り詰める直前のシの和音にはもう1つフラットが加わります。

これがまたおしゃれに聞こえるんです。

というのは、そういうコード進行を聴くと、どうしても私たちの耳は基音であるドの和音を求めてしまうんですね。

私たちの耳はポールの指が「ド ミ ファ ソ」と上って行ったときに、もう前のめりになってまだ聴いていない「ラ シ ド」を求めてしまうんです。

何ということでしょう。

同じような仕組みを利用した楽曲はたくさんあります。

最近のヒットチューンではこちら。

あいみょんさんの「今夜このまま」、とってもクールな楽曲です。

曲の魅せ場はサビの部分のコード進行、ここでも私たちの耳にマジックがはたらいています。

あいみょんさんは(基音をドとすると)

ド ソ ミ

という順番でサビを歌いだします。

このミの音の和音に仕掛けが施されているんです。

ちょっと難しい話になりますが、ミの短和音に七番目の音を載せているんですね。

これによって、私たちの耳はそのミの和音の親戚であるラのマイナーコードを求めてしまいます。

ここにあいみょんさんは、素敵で切ない歌詞をぶつけてくるんですよー。

それがもう、たまりません。

このように楽曲のコード進行には重要で決定的な仕掛けが施されています。

その仕掛けは、結構、自然な音楽の法則に基づくものだったりするんです。

それは音楽という、物理法則に支配された芸術における基本です。

基本が大事。

よく言われますが、

その基本を理解するには、勉強しないといけないんですね。

物理って、芸術にも関係しているんですよ。

はい。

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