【2019年3月26日】東大生講師おすすめの化学参考書

化学参考書

こんにちは。穎才学院の教務です。

今回は東大で化学を専攻する2人の東大生講師にお勧めの化学参考書について教えてもらいました!

少しでも皆さまの学習のお役に立てれば幸いです。

まずは1人目の講師から。

  • 『化学重要問題集』(数研出版)

対象学年 : 早期に受験対策を始めたい高2生~受験生
対象難易度 : 駿台全国模試の化学で偏差値55~60を目指す方

化学の受験対策問題集として数研出版の“化学重要問題集”を紹介したいと思います。

この問題集の良いところは約300題の多い問題数で受験化学の出題範囲を理論・無機・有機にわたって網羅的に押さえている点と、難易度の易しいものから難しいものまで幅広く扱っている点です。一部の無機化学や高分子化学の知識問題を除けば、この問題集を通してほとんどの化学の入試問題に対応する学力が身につくと思います。

問題の難易度はAとBの二つに分けられており、A問題は穴埋め問題や選択問題が多く、化学の基本的な知識を整理しながら解き進められるようになっていて、計算問題などの難易度も低めです。B問題は化学の基礎知識を応用して考える記述式の問題や思考力を必要とする計算問題が主で、少し難しめの問題もあります。受験生が苦手としていることが多い気体の溶解平衡や緩衝液の問題がその例です。A問題といえど教科書傍用問題集(私はリードαを使っていました。)よりは難しい問題が多いので、初学者や化学が苦手な人は傍用問題集に取り組んだ方が良いと思います。また人それぞれの学習方法がありますが、私は一通りのA問題を解いてからB問題にとり組むことを勧めています。

  • この問題集の利用方法

“化学重要問題集”に限らず化学の問題集を利用して勉強をするとき全般に言えることですが、問題集を解き進めながら教科書や参考書を参照するよりも、問題集の該当分野の授業を受けてからもしくは教科書や参考書を読んだ後にこの問題集に取り組むことをお勧めします。(私は高2の頃に東進ハイスクールの鎌田先生のハイレベル化学という授業を取っていました。現在では学研プライムゼミと言うところで授業を持っているようです。)上でも書いた通り特にA問題は穴埋めや選択問題が多く、都度立ち止まりながら進めるよりも、ある程度知識を持った状態で確認するような感覚でスムーズに解き進める方が知識の整理と定着に役立つからです。一方でB問題は少し難易度の高い問題もあるため、A問題よりも1問あたりに時間がかかります。ですからサクサク解き進めるよりも、どちらかと言うと多少時間をかけてもじっくりと考えて解くことをした方が良いと思います。また初見で間違えた問題にはチェックをつけて、2回目に見たときにどこを間違えたかわかるようにしておくと良いでしょう。チェックのついてる問題で分からないものが無くなるまで繰り返し問題集に取り組むのがベストです。

またこの問題集には各分野ごとにまとめのページがあるので、そのページに書いてあることで分からないことがある場合は問題集を解き進める前に改めて教科書や参考書、授業ノートなどを振り返ると良いでしょう。

参考書としては、旺文社から出版されている“鎌田の理論化学”、“鎌田の有機化学”、“福間の無機化学”がわかりやすいと思います。“鎌田の理論化学”、“鎌田の有機化学”は当時私が受けていた授業が参考書になったものと言った感じの本です。

  • 『福間の無機化学の講義』(旺文社)

対象学年 : 早期に受験対策を始めたい高2生~受験生
難易度 : 駿台全国模試の化学で偏差値55~65を目指す方

化学の受検勉強をしていて、理論化学や有機化学よりも覚えることが多い無機化学の勉強に苦戦する受験生は多いのではないでしょうか。実際、“化学重要問題集”などの問題集は、演習が目的であるため、膨大な無機分野の知識を体系的に身に付けるには少々不足している部分があります。今回はその無機化学の参考書として、旺文社から出版されている福間の無機化学の講義を紹介します。まずこの参考書は「無機化学はとにかく暗記だ」もしくは「理屈がわかれば暗記なんていらない」といった極端な方針ではなく、「無機化学は理屈の理解と暗記の両方が大事」という切り口で書かれているので、多くの受験生にとって受け入れやすいです。特に無機化学の代表的な分野である酸化還元反応については、半反応式の作り方から詳しく書かれていて、覚えるべきことの多い沈殿生成反応も、分類ごとに見やすい表にまとめられていて、わかりやすいです。

  • 利用方法

この本は問題集ではなく参考書であるため、理解の疎かな部分を重点的に読んだり、ある程度理解が進んできたら、盲点が無いか確認するために流し読みするなどすると良いでしょう。例えば、「実は学校の授業をちゃんと聞いていなかったので分からないことが多い」や「聞いてはいたが忘れてしまったことが多い」という状況の生徒は、やみくもに問題集を進めたりするよりはこの参考書を読み進めることをした方が良いです。これは無機分野に限ったことではないですが、理論化学や有機化学と比べて、解法の理解よりも知識の整理が必要な分、参考書を読むことは大切です。

(編集注:無機化学の演習用の問題集について言及がないが、演習用の問題集としては後述の「化学の新演習」(三省堂)を薦める。)

  • 『標準問題精講 化学』(旺文社)

対象学年 : 受験生
対象難易度 : 駿台全国模試の化学で偏差値60以上を目指す方

旧帝大や難関私立大学や医学部を目指す生徒の場合、化学重要問題集で一通りの問題に対応する学力を付けた後に、身に付けた学力を引き出す練習ができるとなお良いです。というのも、試験には制限時間が設けられているので、「時間があれば解けた。」「わかってたのに時間が足りなかった。」と言う状況は模試などでも起こりやすく、問題を見て、瞬時に解き始められるようになることも大切だからです。特に化学は数値計算が面倒で時間のかかることがあるので尚更です。これを育むのに、基本的には過去問演習で十分ですが、早期に化学の勉強を始めて高3の夏休み(8月中旬頃)には既に“化学重要問題集”を消化しきっていて時間に余裕のある人などは“標準問題精講 化学”に取り組んでみると良いでしょう。難易度は“化学重要問題集”のB問題と同等かそれよりもやや難しい程度で、問題は100題程掲載されています。同じく私立医学部や旧帝大、東大などの難関大向け問題集として有名な“化学の新演習(三省堂)”よりも問題数は少ないですが、その分解説が丁寧なのでわたしはこちらをお勧めしています。利用方法は“化学重要問題集”と同様に解けない問題が無くなるまで繰り返せると理想的ですが、時間がない場合は志望校の過去問を優先させましょう。


2人目の参考書情報です。 ↓

  • 『化学重要問題集』(数研出版)

毎年、その入試年度向けの改定版が出版されます。高校の方で生徒には購入することを前提としているところも多いでしょう。内容は前年度の各大学の入試問題からの抜粋で、難易度は標準的なラインから大きくは外れない範囲でやや易しいものからやや難しいものまでです。

多くの国公立大学やGMARCHレベルまでの私立大学を志望する受験生にとっては、この参考書を十分にやり込めることができれば入試で困ることはないでしょう。

あくまで問題が多く掲載されているだけの演習書なので、知識を得るためというよりは大学入試で出題される定型的な問題に対してのアプローチの仕方を身につけるために使うものです。例えば、問題を解き、間違ったとして解答解説をみるだけでは理解できない場合、関連することについてもっと知りたいと思った場合には教科書や化学図録を参照すべきでしょう。

  • <上級者向け>『お医者さんになろう医学部への化学』(駿台文庫)

旧帝大や早慶、その他上位私立医大を志望する人向けで、それ以外の大学を志望する人にとっては手を伸ばす必要はないと思われます。

上記の重要問題集で問われるような定型的な問題ではなく、さらなる知識や思考力を試す問題が多いです。分野毎にまず例題とその解き方が紹介されてあり、そのあとに練習問題が並べられています。なかには微分を使うような問題もあります。標準的な問題は確実に解けるだけの実力をつけてから取り組みましょう。

この問題集を進めていく上で出てきた疑問を解決するためには教科書や図録だけでは不十分であることが推測されるので、別に参考するための書籍を用意することを推奨します。(下記”化学の新研究“など)

(編集注:この問題集は絶版になっているが、メルカリなどで比較的安価で入手できる。)

  • <上級者、化学が好きな人向け>『化学の新研究』(三省堂)

大学受験には十分すぎるほどあらゆる分野について詳しく解説がされている参考書です。問題集ではありません。化学に関して大学受験の範囲で、この本を調べても分からないことはないと言っても過言ではありません。

ただ使い方には注意が必要です。この本に書いてあることを全て覚えてしまおうとしてもまず不可能ですし、また、覚えたとしても大学受験に関してあまりアドバンテージにならないことも多いです。あくまで辞書的な使い方に留めて、分からないことを明らかにしたいときなどに参照する、というような使い方をしましょう。また、上級者でないかぎりこの本を参照する必要はまずないと思います。ただ、どれだけ化学ができるかにかかわらず、化学が好きで高校で教えられることだけじゃなくてもっと深くまで知りたいという人にとっては面白い内容になっているでしょうし、手にとってみる価値はありそうです。

  • <中〜上級者向け>『化学の新演習』(三省堂)

特に難関大を志望する生徒からの評価が高い問題集。他の参考書に比べて解説がより丁寧に書かれています。上記の”化学の新研究“とはセットのようなものになっているので、この問題集で問題演習を進め、その中で生じた疑問点を解消たりより深く理解するために新研究を参照する、という形で学習を進めていけると効果的でしょう。

  • <初級者向け>『らくらくマスター化学基礎・化学』(河合出版)

初学者や化学に関して全く自信がない人向けの問題集です。どの分野についても、この問題は解けなければ話にならない、というような基本的な問題が揃えられています。基礎固めのための勉強と並行して確認のために用いたり、別の問題集をやっていて分からなかった問題について同じ分野の基本的な問題を参照するために用いたりするとよいでしょう。化学が苦手でそこまで高得点がほしいわけでもないという人にとっては問題集としてこれだけを完璧に仕上げる、というやり方も一つの戦略でしょう。化学に関してしっかり点を取りたいという人はこの本だけではカバーできない問題も多くあるので注意が必要です。

  • <上級者向け>『新理系の化学問題100選』(駿台文庫)

高校化学の問題集の中で最も難しいと言われています。定型的な問題もなくはありませんが、ほとんどの問題がその場での論理的思考を求めるものであったり物理・生物などの知識まで必要とするものであったりします。例えば、気体分子の占有体積と分子間力を無視しないファンデルワールスの気体方程式が与えられ、それを使って解いていく問題や、物理で習うクーロン力の知識(電荷間に働く引力、斥力が距離の二乗に反比例すること)を知っていないと解けない問題などがあります。

東大、京大などの難しい問題を出題する大学を志望する人で、かつ化学で周りより抜きん出る得点を取りたいと思う人でない限りは必要のないものだと思われます。解説は親切に書かれているのですが、内容が内容なだけに言葉による説明がかなりの部分を占めているので、腰を据えて取り組んでいくのにはかなりの根気も必要になるでしょう。